LIKE A ROLLING BALL

とある学生の活動日記

我が家にはサンタクロースが居た

我が家にはサンタクロースが居た。

サンタクロースは毎年この季節になると、枕元にプレゼントを置いていく。

プレゼントの中身はその年によってさまざまで、幼い頃は車のラジコンやドラえもんボードゲームなんかが印象的だった。

ある程度成長してからは、星のカービィやモンハンなんかのゲームもあった。ウォークマンも手にしたときは画期的だった。

だが良いものだけではなく、小3くらいのころだっただろうか。バトル鉛筆、バトエンの3本セットみたいなものだった。親の前ではそこまで嫌な素振りはしなかったが、心底悲しかった。

でもそれは仕方のない事だった。そりゃあサンタクロースだもの。どんなに人の欲しがるものがわかるといってもすべてが把握できるわけじゃないし。もしかしたら在庫がなかったのかもしれない。

 

周りの友達はみんな言っていた。

「サンタクロースは親だよ」

私は信じなかった。

我が家は大変厳しい家庭だから、まず親がゲームを買ってくれるなんてことはなかった。なんとか手に入れたハードも、1度何か買ってしまったらそれ以降ソフトが増えることはなかった。

そんな環境下で、唯一ゲームなどを手にする機会があるのがサンタクロースなのだ。これが親なわけないじゃないか。もしも親だったら日ごろから買ってくれるし、もしも親がサンタの振りをしてやっているのだとしたら、私はどう反応すればよいのかわからなかった。

「え~!?サンタってお母さんだったの!?」

とでも言えばよいのだろうか。

「実はお母さんがサンタさんだって知ってたよ」

と言うべきなのだろうか。

私はなんて反応すればよいのかわからなかった。

 

だから私はサンタをいつまでも信じていた。

 

中3のころ、受験だからと言ってプレゼントが来なかったときは心底悲しかった。

 

だが、それでも私は信じていた。厳しい家庭の唯一の抜け道が閉ざされたら私はどうなってしまうのか不安だったから。

 

そんなこんなで成人を迎え、いよいよ我が家にもサンタクロースからのプレゼントはなくなってしまった。

 

サンタが来なくなった今、結局我が家におけるサンタの素性は分からなくなってしまった。

本当にサンタクロースが居たのか、それとも母親がサンタの振りをしていたのか。

 

真偽は不明だし、一生わかることもないだろう。そりゃあ母親に対してなんて言い出せばいいのかいまだにわからないのだから。死ぬまでこの謎はわからないままモヤモヤしながら生きていくのだろう。

 

でもきっと我が家にはサンタクロースは居たのだと思う。

 

私にもしも家庭が出来たら、きっとこの苦悩を子供たちもするのだろうか。

お目当てのプレゼントがきてワイワイはしゃぎまわるだろうか。

大人になった瞬間プレゼントが断たれる事の悲しさに打ちひしがれるだろうか。

 

私の両親もきっとそんなことを思いながら子供時代を歩んできたのだろうか。

 

さようなら、サンタさん。

次会う時は、私があなたに代わってプレゼントを配りましょう。